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個人の限界 [おもいの輪郭]

広島の後輩が「会社を辞める」と知った。
このまま辞めさせるのは絶対にいけないと、
人事の権限なんて全くないのに、個人プレーでいきなり広島に日帰り説得工作に向かった。


辞めるという話を聞いた当日に本人と電話で話をした際は、
異常なテンションだったせいか、絶対引き止められるという根拠のない自信があったけど、
時間が経って冷静になるに従い、無理なんだろうなと気付き始めた。
長い間考えていたことを、1日でひっくり返すなんて、到底無茶な話だ。
それでも、なぜそこに至ったのかを本人の口から聞く、
それだけでも意義があるんじゃないか、と、羽田で出発を待っている間も言い聞かせた。

「辞める」のがなぜいけないのか。
それには自分なりの3つ理由がある。
(1)本人がこの会社を十分な踏み台にできていない
(2)社員に対する会社(上役・上司)のサポートに対する疑問
(3)同じ職場に引き抜く話がちょうど出ていた

午前9時過ぎ、広島市中心部に到着。

本人と会ったのは午後1時。
3~4時間、広島アンデルセン2Fのビュッフェレストランで話をした。
結論としては、やはり慰留できなかった。

予想はついていたが、直接の上司が、まともに相談をしていないようだった。
辞める話も、電話でしただけだそうな(顔突き合わせて話すこともできないのか)。
サインは以前から必ず出ているはずだったのに。

ボクの会社は小さいので、役職がついたからといって、現場で働くことに何ら変わりはない。
つまり、部下を管理するということがメインとなるべきところ、
自分も現業を抱えているから、それを第一としなければならない。
しかも、違う組織の中にいるから、部下を直接配下に置いて仕事することが殆どできない。
となると、部下の現状を把握したりすることは、よほど周りの状況に敏感でないと難しい。
部下の心のブレを補正することは、まず穏やかに思いを受け止め、善処案を考えることから始まる。
ボクの会社にいる人間は、全体的にそういう器がないようだ。
自分自身のことで、結局精一杯だということだ。

そして、本人の話を聞いていると、「甘いな」と思わざるを得なかった。
どうも、「目に見える成果(営業成績等)」が欲しいとのことだった。
確かに、SE稼業は、個人の営業成績が明確に出てくるものではないので、
目に見える形での成果は掴みにくい。
そして、将来独立するための勉強をする時間が欲しいから、派遣の仕事をしたいとのこと。
将来を考えると、24・5歳の転職はギリギリだ、との見解。

なるほど、よくある話だ。
しかし、目に見える成果を挙げる仕事で、定時に帰ることなんて無理だ。そこで矛盾。
転職するにはギリギリの年齢、ふむそうかも知れない、キャリアが少なければ。
数年前の不況時よりも、実績があれば、年齢の壁はなんとかなるはずだ。
それを無駄に焦って転職を繰り返すのは、かえってキャリアに傷をつけるのではないか。
あと、仕事しながらの勉強は、いくら定時帰社でも、強い意志がないと難しい。

この会社にいることで可能なことと難しいこと、
本人の現状を踏まえたアドバイスができただけでも、本人にとってはよかったのだと思おう。
他に誰も、親身になって話を聞いていたわけではないのだから。

本人の「無知の知」に関する限界、上役のマネジメント能力の限界、
そして自分自身の現在の立場でできることの限界をつくづく痛感し、
苛立たしく、なんともやり切れない。
エネルギーを使った一日、また課題が新たに顕になった日だった。


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コメント 2

kou

そうでしたか。広島の日帰りは、これが理由だったのですね。
数人の部下をきちんと目配りし、的確な対処をすることって本当に難しいように思います。
説得や相談をするべき上の立場の人の士気が高くないと、言葉も伝わりにくいでしょうし。
私自身、いま数人を取りまとめる立場にあっていろいろと悩みますが、自分自身の器や経験の少なさ、会社全体の風潮における考え事が尽きません。
by kou (2007-07-30 13:19) 

はらぼー

>>「kou」さんこんばんは。
今年度少し上の立場になったからではないですが、
最近は自分自身のことに少し余裕ができたせいで、
周りの状況をより気にできるようになりました。
配置とか教え方についての上司からの相談があったり、逆にしてみたり。

そういう時期にこういうことが起こったので、
妙にハイテンションになってしまったところはあります。
それだけに、冷静になったときには、
会社や上司、自分自身のそういう部分の素質の有無に気付くと、
落胆してしまうものです。

今いる職場では、いろいろと何人かを取り纏める仕事を
大小させてもらっていて、いろいろと「勉強させてもらっている」ところです。
by はらぼー (2007-08-01 18:42) 

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