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「かぐや姫の物語」を観て [My Favorites]

2013-12-22 12.00.36.jpg
レイトショーで観に行った。
そして、とても穏やかな気持ちになった。
人によって、捉え方は違うだろうけれど。

ベースとなる「竹取物語」の大筋を知っているからかも知れない。
アニメーションの画から醸し出される雰囲気から、そう思ったのかも知れない。

それでも、物語の内容は、
人間の煩悩と欲、誤解、勘違いやすれ違い、そして運命など、
重いテーマが盛り込まれている。
宗教的思想や、哲学的思想なども感じる内容なので、
本来は重苦しく、人生の無常観までも感じてしまう。

穏やかになれたのは、きっと、
全編を通して伝わる、素朴な色合いや線のタッチなどの見せ方、
そして、アフレコ後に画を書く」という、特殊な技法を用いたからこそと思える。

内容だが、あまりにも人間らしい人間が、描かれている。
人間ではない、かぐや姫であっても、である。

主人公であるかぐや姫が、養父の子を思う心の取り違えにより苦しむこと、
それでも、暗黙で通じ合い、苦しい思いを吐露できる、養母という存在に助けられたこと、
周囲の自己中心的で身勝手な行動・・・
かぐや姫は周囲を振り回しているのは、周囲に振り回されたからなんだ。

人間だれしも、生きていれば必ず感じとってしまう、
自己中心で心無い言動、そして慈愛に満ちた抱擁、何気ない幸せ・・・
それらを受けたことによる、繊細な心の揺れや表情に、共感を覚えずにはいられなかった。

主人公以外にも、出演キャラクターそれぞれの思いが際立ち、
そこから生まれる突飛もない言動や行動なども、その丁寧な「画」で見事に表現されている。

順調にいけば2020年に完成(^^;と言われていたそうだ。
確かに、ラストシーンなどは、もう少し何かできそうな気もしたのだが、
全体を通せば、素晴らしい作品だった。

高畑勲監督らしい、人間の残酷さを逃げも隠れもせずに描きながらも、
優しい絵のタッチで、そのダークさを、「人間って素敵なものなんだよ」と、
実写映画ではなかなか描けない、絵本のような美しく、シンプルな見せ方で教えてくれる作風が、
とにかく際立った長編アニメーションだ。

同じスタジオジブリの作品でも、
ボクは宮崎駿監督のファンタジーさのある作品のほうが好きで、
高畑監督は、現実の厳しさを突きつけられる、
ザクッと胸を刺されるような思いになることが多くてちょっと苦手だったのだが、
もしかして、もう大分大人になったからだろうか、
その感じが、この映画では、素直に静かに、受け入れることができた。

もう40ともなると、
ちょっとしたことで涙腺が緩む。
なんでオープニングから目が滲んでしまったんだろうなぁ。
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cocoa051

>涙腺が緩む
に、ちょっと興味がわきました。
by cocoa051 (2013-12-23 17:54) 

はらぼー

「cocoa051」さんの興味を引きましたか!(^^)!

涙腺の沸点や感性の場所は人それぞれですが、
それぞれの経験などに重なるシーンは、
どこかしらあると思います。
とにかく、格好つけているところなど一切ない、
いい意味で、とても人間臭いアニメーションです。
by はらぼー (2013-12-23 19:43) 

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