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そば 八雲本店(島根県出雲市大社町) 釜上そば [俺の山陰]

そういえば・・・2013年もよろしくお願いします。

今日は朝早くから、遅めの初詣がてら、出雲大社巡りをしてきた。
朝早くの参拝はより一層清々しい気持ちになるが、
歩き回るとお腹が空く。
しかし、朝早いと困るのが、開いている店がなかなか見つからないこと。
幸い、9時過ぎまで待っていれば、
出雲大社の無料駐車場周辺のお蕎麦屋さんは、ぽつぽつと開店してくれる。

yakumo_02.jpg
そのうちの一つが、ここ八雲本店。
出雲そばといえば、丸いお重に入った割子(わりご)そばというのが有名。
江戸時代、既に名産となっていた蕎麦を、
今の言葉で言うとピクニックに持っていきたいということで、
城下町松江にて特注の丸い漆器にお蕎麦を入れて持ち出した、というのが、
割子そばの始まりだとか。

そして、出雲地方で永く愛されている出雲そばの食し方がもう一つ。
それが「釜上そば」だ。
yakumo_01.jpg
ちなみに「釜揚げ」ではない。こちらでは一杯546円。
この特徴は、蕎麦を茹でた熱々の蕎麦湯を丼に張って、濃いめの蕎麦つゆを入れたものに、
茹でたての蕎麦を入れるものだ。
つまり、甘皮挽きの滋味深い田舎蕎麦である出雲そばというだけでなく、
おつゆまでも蕎麦、と目一杯蕎麦を味わえるというわけ。
一方で、おつゆがとにかく蕎麦粉が溶けたトロトロ感が、
よもすればより「田舎」感を醸し出してしまうのは、正直否めない一品でもある。

話を戻そう。
このお店、かつて宮内庁御用達の蕎麦店で長年腕を振るわれた職人さんが営まれているそう。
その腕がそうさせるのか、前述の「田舎」然としがちな釜上そばまでも、
「上品」に仕上がっているのにはびっくりした。

出雲そばは、信州・関東の更科そばよりも、一般的には少し太目の麺なのだが、
ここでは、味は出雲そばながら、更科のような喉越しのよさげな細い麺なのだ。
この細麺が、パンチが弱いのではという予想を見事に翻し、
濃厚な出雲そばの風味を一層際立出せており、しかも品がいい。
そしておつゆも、粉っぽく感じさせない絶妙な濃さの蕎麦湯と、
やや関東寄りにも思える、やや濃いめの甘辛い蕎麦つゆとのバランスが見事で、
まろやかさがありつつもキリッっとした喉越しで、
ストレスなく一滴残さず飲み干せる。

電球色の落ち着いた店内はお座敷席もあり、こざっぱりした中庭を眺めながら食すこともできる。
休日の接客は主に地元の高校生がアルバイトでしているのだが、
男女共々はきはきと気持ちのいい接客をしてくれるので、これまた好印象。
メニュー自体はトラディショナルだが、味わいは少し趣を異にする八雲の出雲そば、
他店のそばもいただきつつ、参拝の折には立ち寄って味わっていただければと思う。

なお、すぐそばに支店もあり、同じものがいただけると推測。

<補足 出雲そばの食べ方>
お好きなように食べていただければ、基本的にはいいのだが、
間違い過ぎた食べ方で、出雲そばの良さを殺してしまっては元も子もないので、
出雲地方の流儀みたいなことを一応記させていただきたい。

「割子そば」
丸いお重の中に、あらかじめ薬味が乗っていることが多い。
別添の場合もあるが、その場合は食される時に適宜載せていただきたい。

蕎麦つゆはつゆ入れに入って別添えされている。
甘めだが結構濃いめなので、かけ過ぎに注意。

例えば三段割子の場合、一段目をいただく際に一段目にだけ蕎麦つゆをかけていただく。
二段目には、いただき終わった一段目に残った蕎麦つゆをまずかけて、足りなければ注ぎ足す。
三段目も同様、二段目をいただいてから残ったつゆを残さずかけて、
不足なら足す、といった具合。

「釜上そば」
今回紹介した八雲本店のように、最初から蕎麦つゆが張ってはるのは割と少ない。
出雲地方の多くの蕎麦店での釜上そばは、
茹でたて蕎麦に蕎麦湯のみ張った丼に、
割子そばと同様、お好きなだけかけてと言わんばかりに、
蕎麦つゆ入りのつゆ入れが添えてある。
こちらも蕎麦つゆの入れ過ぎには、くれぐれもご注意を。
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コメント 2

kou

随分と遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
なんとなく2012年の記事に書くのがためらわれて。(^^;
出雲そばは、出雲大社を訪れた時に一回食べたことがありますが、下調べもせず、時間がなかったのでそそくさと食し、あまり記憶に残っていません。
知らないことがいろいろと書いてあり参考になりました。
いつか訪れる時は、読み返してから行こうと思います。(^^)
by kou (2013-01-15 23:47) 

はらぼー

「kou」さん、そうですね・・・年始の更新をしてませんでしたから・・・。
今年もやっぱりこんな感じでルーズに更新していきますので、
たまに覗きに来てやってくださいね。

関東・信州の更科そばが「喉ごし」を楽しむのに対して、
出雲そばは「噛みしめて」楽しむもののようです。
次の機会には、そういえば・・・と思い出して
実践してみてください。
なかなか島根に赴かれることもないかと思いますが・・・。
釜上そばの蕎麦湯のおつゆ、本当にほっこりあったまりますよ。

そういえば、関東では本当に出雲そばの店がないですよね。
スーパーにも乾麺一つなかなか見つけられません。
成城石井みたいなところには、あったりするのかなぁ。
by はらぼー (2013-01-16 23:29) 

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