ノンフィクション・ショートショート 悪夢~その「縁石」のようなもの~(島根県松江市・出雲市) [街小説]
2015年5月15日金曜日、正午過ぎ。
宍道湖沿岸は、曇りがちで少し蒸し暑く、
汗かきである僕は、愛車であるアクセラスポーツ1500ccの車内で、
まだ5月だというのに、冷房をメモリ1つ分だけつけながら、ハンドルを握っていた。
宍道湖沿岸は、曇りがちで少し蒸し暑く、
汗かきである僕は、愛車であるアクセラスポーツ1500ccの車内で、
まだ5月だというのに、冷房をメモリ1つ分だけつけながら、ハンドルを握っていた。
反射光 ~ 一畑電車北松江線 伊野灘駅 [街小説]
松江方面の電車は、まだ20分も先だ。
ベンチから立ち上がり、木造の小さな駅舎を出てホームに立つと、白く霞んだ空に拡散した太陽の光の眩しさに、俺は目を細めながら、湖沿いの国道を通る車を次々と見送った。
遮断機の音が鳴り始めた瞬間、国道端に停まった白い車から、涼介が俺に向かって、いつものはにかんだ笑顔で手を振っていた。
決してもう見るはずのない姿が、確かにその瞬間、俺には見えたんだ・・・。
春待燈(はるまちあかり) ~ 美保関燈台(島根県松江市美保関町)・禄剛崎灯台(石川県珠洲市狼煙町) [街小説]
~今シーズン一番とも言える寒さとなったこの日、必ずやってくる、春の恵みを想いながら~
エンジンを止めヘルメットを脱ぐと、湿気を微かに含んだ潮の香りに包まれた。
静寂の中に、波の音が聞こえる。また来ることができた、という実感とともに、青い空を見上げながら深く息を吐いた。
エンジンを止めヘルメットを脱ぐと、湿気を微かに含んだ潮の香りに包まれた。
静寂の中に、波の音が聞こえる。また来ることができた、という実感とともに、青い空を見上げながら深く息を吐いた。
オレノ、ココロハ、ドコダ。 ~ 宍道湖(島根県松江市・出雲市) [街小説]
晴雨の雨垂れの音と、テレビから流れる事件のニュースを聞き流しながら、、県警宿舎の東端の部屋で、亮はコンビニエンスストアのミックスサンドウィッチを頬張りつつ、眠い目を擦りながら、荷造りをする。
「そういう話じゃないんだよな・・・」
そう呟くと、テレビを消し、ゴミ袋と古惚けたチェスナットブラウンの革鞄を持って、鍵を閉めた。
「そういう話じゃないんだよな・・・」
そう呟くと、テレビを消し、ゴミ袋と古惚けたチェスナットブラウンの革鞄を持って、鍵を閉めた。
出雲から - おばちゃんともうちゃんと、ぼく - ~ 一畑電車北松江線・大社線 川跡駅 [街小説]
「かわとぉー、かわとぉー・・・ごじょうすぃゃ、あるぃがとうごずぁーぇます、かわとでごずぁーぇます。いずもたいしゃぁほうみぇんは、のるぃかいぇです。ふむぃくぃりをわつぁって、いつぃばんのるぃばのでぃんしゃぁに、おのるぃかいぇ、くどぅぁーさいっ・・・」
えきのおばちゃんがマイクでそういったあと、
でんしゃがホームからぜんぶはっしゃしていった。
君に、逢いにきたよ。 ~ 水の都 松江 [街小説]
「うぁあー、湖が見えてきたよー」
古い電車の車窓から徐々に見えてきた宍道湖に反応し、亜耶と竜生は自然と笑みがこぼれている。
ワイナリーで片っ端からワインを試飲しまくった修は、ロングシートで泥酔して完全にグロッギーだもんな。空席だらけだから良かったけれど、真っ昼間から困ったもんだよ。修は後先考えないんだよな、いつもこんな感じだ。
「夕日がいいって聞いてたのに、どんよりだね・・・これから晴れるかなぁ」
どうだろうなぁ。出雲の国は曇り空ばっかりだしなぁ。亜耶、前から見たがってたもんな。
「いよいよ、松江なんだなぁ・・・」
そうだよ竜生。やっとみんなで来てくれたんだね・・・あ、沙希は仕事で遅れて夕方合流だったか。編集チーフになって毎日頑張ってるもんな。
「おさむちゃん! おさむちゃん! もうすぐ着くぞ、起きろぉ」
「ん・・・んぅ・・・分かっらぁ~」
雲底の錠 ~ 鬼の舌震[おにのしたぶるい](島根県仁多郡奥出雲町) [街小説]
国道から県道25号線に入った辺りか、フロントガラスに点々と雨粒が音をたて始めた。
助手席にいるはずの彼女はいない。
こんな憂鬱な気分でここに来るはずじゃなかった。いや、こんな気分なら来るのを止めるべきだったのだろう。俺にも取るに足らない意地があり、それが俺を一人でここに来させたのだ。
助手席にいるはずの彼女はいない。
こんな憂鬱な気分でここに来るはずじゃなかった。いや、こんな気分なら来るのを止めるべきだったのだろう。俺にも取るに足らない意地があり、それが俺を一人でここに来させたのだ。