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中森明菜「DESIRE-情熱-」 [My Favorite 中森明菜]

カテゴリ「My Favorite 中森明菜」では、
ボクが小さい頃から、そして現在でも最も好きなシンガー、
中森明菜の楽曲を、紹介していこうと思う。

「DESIRE-情熱-」 作詞: 阿木燿子 作曲: 鈴木キサブロー 編曲:椎名和夫

1986年2月3日発売のシングル曲。
1986年 第28回日本レコード大賞 大賞受賞曲。

同時期のヒット曲は、
渡辺美里「My Revolution」、少年隊「仮面舞踏会」、「デカメロン伝説」、
荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」、本田美奈子「1986年のマリリン」、
河合その子「青いスタスィオン」、チェッカーズ「OH!! POPSTAR」、
斉藤由貴「悲しみよこんにちは」、岡田有希子「くちびるNetwork」等々。
おニャン子クラブとその派生ユニット・ソロを含む、女性アイドル花盛りの時代だ。

その女性アイドルというカテゴリーの中の頂点にいたのが、
前年1985年に、
「ミ・アモーレ(Meu amor e...)」での日本レコード大賞の大賞受賞を始め、
有線放送関連の賞以外はほぼ全て手中に収めた、中森明菜その人である。

その当時彼女は、新曲を出しヒットするとすぐに、
「次は明菜、どんな曲を出すんだろう?」という期待感を抱かせる、
常に注目を浴びる存在であった。
前作「SOLITUDE」が、当時の主たる若いファン層にとって、
理解しづらい大人の雰囲気の曲であったことから、
一部のファンからは、
アイドルとしての中森明菜はもう終わってしまった、と思われていた、と感じる。

そう、中森明菜は、明らかに「SOLITUDE」でアイドルという殻を完全に脱皮したのだ。
そして、その次には何が来るのだろう・・・中森明菜はどこに向かうのだろう・・・
・・・という期待と不安の答えが、
この、キャッチ―なドラムの打ち込みと、
「Get up, Get up,Get up, Burning love」という、強烈な印象を残すフレーズから始まる、
「DESIRE-情熱-」という、明快なロックナンバーだった。

中森明菜は、この曲から、時代を牽引するエンターティナーという姿を見せるようになる。

まず、斬新というには余りにも安易過ぎる、エキセントリックな衣装。
そして、彼女のイメージを根底から覆す、ボブのヘアスタイル。

なんでも、海外の人が持つ、間違った日本のイメージを意識したとのこと。
着物なのにブーツ、そしてジャラジャラとアクセサリーをつけ、
海外から見る、誤った「NIPPON」を、敢えて日本人に見せつける。
そして我ら日本人は、計算尽くされた彼女の術中に見事に嵌り、
度肝を抜かれたのであった。

振り付けもそうだ。
着物を身に纏っているうら若き女性が、これまで以上に激しく踊り狂うその姿。
そして数秒間のちょっとした振り付けが、全てとにかくキャッチー。
誰でも真似したくなるようなキャッチーさを、計算尽くして盛り込むところが、
なんとも憎らしい。

そしていわゆる「明菜ビブラート」。
この頃から、この歌唱法を多用するようになったと思われる。
特にアップビートの曲をライブや歌番組で披露する際によく見られた。
激しく踊りつつ、この圧倒的で艶のあるビブラートを、
生のパフォーマンスで、口パクなしでドカーンと見せつけられれば、
ファンならずとも、見入ってしまうのは当然である。

当時の歌番組やライブを見たことのある方なら分かると思うが、
彼女のバックバンド「ファンタスティックス」、
ただでさえ超一流の腕を持つこの猛者達が、
この曲では彼女の圧倒的なパフォーマンスに触発されるかのごとく、
超絶テクニックを惜しげもなく披露してしまう。

「中森明菜」というプロジェクトの、
「エンターテインメントとはこういうものよ」という強い主張がそこにはあった。
歌唱、衣装、パフォーマンス、演奏。
それら全てが重なり合って、完璧なエンターテインメントが完成した。

こんなパフォーマンスは、
これまでの、当時の、いやそれから先の現在に至るまで、
どんなアイドルも、演歌・歌謡曲歌手も、
いわゆるニューミュージックアーティストも、
ロッカーも、披露したことがない。
いや、ここまで誰も「できない」。
爆発力が半端ない。
ビジュアル系アーティストに彼女のファンが多いのも、この所以だろう。

それだけのとんでもないインパクトと存在感を、
この曲で、中森明菜は燦然と放ったのである。
当時の彼女が「女王」たる所以が、ここにある。

さて、曲自体だが、
シンセサイザーで曲のメロディアスさを最後まで維持しつつ、
ドラムでスリリングさを演出。
そして歌のない部分では、ギターが激しくうねり、
ロック感を更に盛り上げている。
よくよく聴いてみると、
上述のシンセ、ドラム、ギターが主の、
あれこれこねくり回していない、意外にシンプルなアレンジなのだ。
ここに、彼女の、ただ力強いだけではなく、
細部に渡り繊細な感情表現を織り交ぜた、
緩急強弱多彩な歌唱が加わり、
より一層スリリングな作品に仕上がっている。

阿木曜子氏の歌詞も、
女性ならではの感性で、
バブル時代とそこに生きる女性の焦燥感を見事に描き切っている。
それにしても、かなりアクの強い刺激的なフレーズが並ぶ。
これも、当時の中森明菜という、
頂点に上り詰めたシンガーへの提供ということから、
相当考え抜かれた上に生み出された、
彼女ならこれを歌いきれる、と期待を込めたからこそ
思い浮かんだフレーズであると推測できる。
そして明菜は、その期待に、いやそれ以上に見事に応えたのだ。

なお、この曲は確実に中森明菜の代表作であり、
カラオケでも相当人気のある楽曲でもあり、
割と正統派な「熱唱型」の曲ではあるのだが、
完璧に歌いこなすのは、かなり難しい部類に入る曲ではないかと思う。

個人的には、
彼女の「歌」そのもののパワーが頂点に達したのは、
1988~89年頃だと思っており、
この頃はまだ、発展途上の段階だと思っている。
しかし、そうはいっても当曲での彼女の歌唱は凄い。
これにヘタに近付こうとすると、確実にケガをする。

とは言っても、
30代後半以上の方々にとって、
盛り上がる曲であるのは間違いないので、
上手く歌おうとするのではなく、気楽に楽しむ感覚で、
歌っていただければ、それが一番だと思う。
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SORI

はらぼーさん こんにちは
最近は聞く機会が少なくなりましたが、中森明菜の歌は大好きでした。なんといっても歌がうまかったです。
by SORI (2015-05-02 14:34) 

はらぼー

「SORI」さん、コメント&nice! ありがとうございます。
彼女の歌のうまさを理解していただけるのは、
とてもうれしいです!!

全盛期の彼女の曲は、
ポップスを聞かない大人からも
「この子は歌がうまいねぇ」と言われるほど、
幅広い年代から、その歌唱力を評価されていましたよね。
by はらぼー (2015-05-02 18:35) 

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