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中森明菜「落花流水」 [My Favorite 中森明菜]

カテゴリ「My Favorite 中森明菜」では、
ボクが小さい頃から、そして現在でも最も好きなシンガー、
中森明菜の楽曲を、紹介していこうと思う。

「落花流水」 作詞:松本隆 作曲:林田健司 編曲:坂本昌之

2005年12月7日発売のシングル曲。
テレビ東京系放送の新春時代劇「天下騒乱 徳川三代の陰謀」主題歌。

同時期のヒット曲は、
修二と彰「青春アミーゴ」、レミオロメン「粉雪」、
EXILE「ただ…逢いたくて」、SMAP「Triangle」、
BUMP OF CHICKEN「Supernova/カルマ」等々。
男性アイドル、アーティストが強い時期のようだ。

中森明菜ほど、日本の「赤色」である、
「紅」、そして「朱」を表現できるシンガーを、他に知らない。
つまり、彼女は、日本の情景を歌に表現できる、稀有な存在ということ。
過去の「二人静~天河伝説殺人事件より~」、「月華」、「赤い華」もそうだが、
曲それぞれに、真っ赤な「日本人の血」が通っている。
しかも、日本女性の一途さ、隠し持った情念、隠しきれない愛憎が、
その曲の中に「血」を通わせる。

この「落花流水」、読んで字のごとく、
寺社仏閣の小川にひらひらと舞い落ちる、朽ち果ててもなお鮮やかに光る紅葉もしくは花を、
主人公の思いに重ね、思いよ、あなたに届け、とばかりに、
物語の情景を完全に再現するかのごとく、
ウッドベースのような低音の歌声で、まるで命を削るかのように絶唱する。
限りなく透明で清らかな小川の水が、主人公の男への思いの清らかさを、
その水にながされるがままの「深緋色(黒めの赤)」が、
男への情念、つまり女の逆らえない「血」を表す。
それを見事に歌い切る、まさにオリエンタル色満載の、明菜の真骨頂と言える楽曲。

曲、アレンジは、これまで明菜が培ったイメージを完全に意識した作品。
パーカッション、シンセサイザー、弦楽器といったサウンドという、
SMAP「青いイナズマ」を提供した林田氏お得意の力量を存分に発揮した、
過剰な印象さえ与えるほどにアップテンポかつゴージャス、
かつ日本のポップスとはこれだ、と「正解」を示したぞ、
と言わんばかりの重厚さを見せている。
その重厚なサウンドに負けないよう、
同曲での彼女のヴォーカルは、これまでになく大き目のボリュームで、
リバーブも極力控えた、息遣いも生々しく伝わる抜群の迫力。

かつて松田聖子の黄金期を支えた作詞家、松本隆氏の詩、
「ああ無言の恋歌 邪険な時を忘れさせて
 もう昨日までの私 反故にしてもいい」
という2番のサビを初めとする、日本語の美しさを大切にした言葉が、
明菜の「歌」に人生を賭ける思い、つまり「覚悟」「意思」が露出する
歌いっぷりも相まって、絶品。
レコード収録の歌唱に好不調がはっきりと現れる彼女の後期の作品の中でも、
かつての明菜の歌唱法を用いた名作の一つと、思う。

なお、カラオケだと、とても気持ちよく歌い切れる、
明菜らしいドラマティックな歌。
音域も狭い範囲なので、歌いやすそうだが、
普通の女性にしては、かなり低音なので、キー調整にはお気を付けて。

【追記】
アルバム「Destination」に、アレンジを少しおとなしめにしたものが収録されている。
テレビでは、リリース時に「ミュージック・フェア―」で歌唱したのみであるため、
ヒットとまではいかなかった、認知度がかなり低いナンバーだ。
ちなみに、アルバムは週間ランキング20位台には入っており、
今でもCDショップには通常版(廉価版でないもの)が並んでいる。
初期のものと異なり、レンタルで見かけることもたまにあるので、
試しに聴かれてみては。
このアルバムには、全盛期の中森明菜らしい楽曲がてんこ盛りで、懐かしささえ感じられる。
それでも、単なる懐古趣味にはなっておらず、より奥深い仕上がりになっており、
肩に力が入っている挑戦的な作品と違い、
自然体でいきいきとした彼女の歌声が聴ける名盤だと思う。
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